耐震補強って必要?
一般的に古い木造建築は、経年により柱や梁の劣化や損傷は少なからずあるため、長く安心して暮らせるよう、柱や梁などの主要な構造部に補強を行うことをハニカムラボではおすすめしています。また、地震などの水平方向の揺れに対しても、建物の歪みや偏りをなくしたり、筋交いを入れる「耐震補強」を行うことで、建物の耐久性を底上げすることが可能です。
どのくらいの補強が必要かについては、耐震補強築年数や構造、シロアリの有無、地盤の状況により異なってくるため、ハニカムラボではお見積りの段階から現場を入念に調査しています。
具体的にどんな流れで耐震改修工事を行うのでしょうか。大きく下の5つの項目に分けて説明していきます。
①建物の調査、耐震改修設計
まずは建物の調査。柱や梁の劣化具合はもちろん、基礎躯体の状態や建物の歪み、床の沈みなど念入りに調べます。その調査結果を元に必要な耐震工事や構造補強を設計していきます。ここで一番大切なのは、揺れを上手く逃して、建物を倒壊させない構造をつくること。全体のバランスや、揺れが伝わる方向など様々なことを考えながら、筋交いを入れるポイントなどを決定していきます。
②建物と基礎との緊結
建物の「いしずえ」となる基礎。建物で一番大切なのがこの躯体です。基礎自体が強固であることはもちろん、基礎と建物がしっかりつなぎ合わさっていること(緊結されている)ことが大切です。大地震が起こった際に建物の土台が基礎を踏みはずすことがないように、基礎に埋め込んだアンカーボルトと建物土台をしっかり緊結しなおします。
③耐力が弱くなった柱や梁を取り替える
シロアリや経年劣化の影響で脆くなった柱や梁は新しく取り替えます。新しい木材と元からあった木材が、交差する部分は職人さんの手仕事です。新しい梁材をノミで正確にかき取って、そこに他方の木材をはめ込みます。欠込(かきこみ)といわれる、木材を繋ぎ合わせる方法の一つですが、ピタリと隙間なく交差しています。
④構造金物も新しく
構造金物も新しいものに取り替えます。例えばこの古くなった「羽子板金物」。木造建築で、桁(けた)と梁(はり)が引き抜けないように固定する金具です。その名のとおり、羽根突きの羽子板と形が似ているようですね。新しい「リフォーム用羽子板」に取り替えることで、さらに構造強度を増していきます。こうした建築金物は、地震や台風などで建物に歪みが生じたときでも、梁がはずれて落ちるのを防ぐ大切な役割を担っています。
⑤筋交いで耐震強度を高める
そして、耐震強度を高めるために重要なのが、この写真のように斜め方向に入った「筋交い」という部材です。筋交いは地震によって生じる水平方向の荷重を支える役割を担ってくれるのです。ここで重要なのは筋交いを建物のどこに入れるかということ。ただ筋交いを入れただけでは効果を発揮しないのです。建物の重心(重さの中心)と剛心(強さの中心)ができるだけ近くなるようにバランスをとりながら配置していくことが重要です。
このように、耐震工事はただ強度を高める部材をたくさん使うのではなく、建物のバランスや、揺れが伝わる方向など様々なことを考えながら、設計することが必要なのです。
気になる耐震改修工事の費用は?
今回は、築48年木造2階建住宅の耐震改修工事の事例をご紹介しました。築年数やシロアリの有無、建物の大きさなどで耐震費用は大幅に異なりますが、この事例では耐震工事に約150万円、耐震設計費用に35万円かかりました。
中古戸建リノベーションを考えられている方はまず、一度ハニカムラボに調査をご依頼ください。だいたいの費用感や必要な耐震工事の度合いをご予算を踏まえた上で話し合いましょう。
また、自治体や条件によっても違いますが、大阪市の場合(令和6年)耐震改修設計費用最大10万円、耐震改修工事費用最大100万円の補助金もございます。
〈番外編〉地震の時はここに逃げて!
ハニカムラボでは自社で耐震改修設計を行っているため、その建物のどこが強くてどこが弱いのか、建物の特性を熟知しています。そのため、地震が起きたらここにみんなで逃げてね!といったように、ちょっとした避難アドバイスをさせていただいているのです。
こちらのお宅の避難場所は、「ダイニング」。お子さんも交えてもしもの時のための避難をご家族でお話しするのってとても大切ですよね。